2026年の年末調整で変わる控除:36万円増と還付額の違い、年収別の試算

2026年の年末調整で変わる控除:36万円増と還付額の違い、年収別の試算

2026年分の年末調整では、基礎控除などの改正が反映されます。ただし、控除が36万円増える場合も、同じ36万円が戻るわけではありません。[s1][s4]

本記事では、控除と税額の違い、変更される制度、年収別の試算、提出前に確認する書類を整理します。所得税と住民税・社会保険を分け、期間限定の特例と還付の条件も確認します。

情報は2026年10月29日時点のものです。制度・税率・金額は変わることがあります。最新の条件は公式サイトでご確認ください。出典は記事末尾にまとめています。

本メディアは制度や仕組みの解説を目的としています。特定の金融商品・保険商品の購入をすすめるものではありません。投資には元本を下回るリスクがあります。試算は前提によって変わり、将来の成果を保証するものではありません。

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この記事のポイント
  • 増える控除は税金を計算する所得から引く額で、還付額そのものではありません。
  • 主な改正は12月の年末調整で反映され、払い過ぎがあれば精算で還付されます。
  • 基礎控除104万円と給与所得控除の最低保障74万円は、2026・2027年分の扱いです。

基礎知識と読む前の前提

給与収入から給与所得控除を引いたものが給与所得です。さらに基礎控除や社会保険料控除などを差し引いて税額を計算するため、年収と合計所得、課税所得はそれぞれ違う金額になります。[s1]

年末調整は、月々に源泉徴収された所得税と、その年の正しい税額を精算する手続きです。控除が増えても、そもそもの納税額や他の控除によって還付の有無と額は変わります。[s1][s2]

本記事の年収別の金額は、条件をそろえた作った例です。給与だけ、独身で扶養なし、社会保険料を年収の15%と仮定し、他の控除と住民税を含めず、復興特別所得税を含む所得税を試算しています。

主要キーワード・用語の定義
所得控除
税額を計算する所得から差し引く額です。控除額をそのまま受け取る制度ではありません。
給与所得控除
給与収入から給与所得を求める際に差し引く額です。基礎控除とは別に扱います。
還付
源泉徴収された税金が年税額より多い場合に、差額が返されることです。

36万円の控除増でも、税金の減りは条件による

給与だけで年収500万円の独身者を例にすると、基礎控除は68万円から104万円へ増えます。この36万円は、税率を掛ける前の所得から引く額が増えるという意味です。[s1][s3]

比較表

年収500万円・給料だけ・独身(試算)

項目去年まで今年から
基礎控除68万円104万円
課税される所得213万円177万円
所得税約11.8万円約9.0万円

社会保険料を年収の15%とする試算では、課税所得が213万円から177万円へ減り、所得税は約11.79万円から約9.04万円になります。減少額は約2.8万円で、控除増の36万円とは桁が違います。

この例では課税所得が税率の境目をまたぐため、控除の増加分すべてに同じ税率が掛かるわけではありません。実際の還付は月々に天引きされた税額との精算で決まるので、この試算額が必ず振り込まれるとも限りません。[s1][s2]

基礎控除と給与所得控除は、適用年を確認する

2026・2027年分の基礎控除は、居住者の合計所得489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円です。655万円超2,350万円以下では62万円となり、2,350万円超の扱いは今回変わりません。[s1][s3]

給与所得控除の最低保障額は、同じ期間に74万円となります。給与だけの場合の所得税がかからない収入の目安178万円は、74万円と104万円を足したもので、住民税や社会保険の加入条件を示す数字ではありません。[s1][s3]

比較表

給与所得控除(給料だけ・令和8・9年分)

項目去年まで今年から
年収190万円65万円74万円
年収200万円68万円74万円
年収220万円74万円74万円
年収300万円98万円98万円

2028年分以後は、給与所得控除の最低保障額が69万円となります。基礎控除も合計所得132万円以下で99万円、それより上で2,350万円以下は62万円なので、104万円がずっと続くとは考えないでください。[s1][s3]

扶養と生命保険料控除で確認すること

扶養親族や同一生計配偶者の所得要件は、58万円以下から62万円以下へ変わります。給与だけの場合は収入123万円以下から136万円以下への変更ですが、税の所得要件を満たすことと、社会保険の扶養に入れることは別です。[s1][s3]

新しく扶養親族等の対象になる人がいる場合は、扶養控除等(異動)申告書の提出が必要です。収入と所得を混同せず、家族の年間見込みを確認して会社へ申告してください。[s1][s2]

23歳未満の扶養親族がいる場合、2026・2027年分は新生命保険料の一般生命保険料控除の上限が6万円になります。一般・介護医療・個人年金を合わせた上限12万円は変わらず、支払保険料によって増える控除額も異なります。[s1]

比較表

一般の生命保険料控除(新しい契約・1年分)

項目ふつう23歳未満の扶養あり
年6万円払う3.5万円4.5万円
年8万円払う4万円5万円
年12万円払う4万円6万円

年間8万円を払う場合は、通常の4万円に対し特例では5万円で、増加は1万円です。家族がいるだけで2万円の税金が戻るものではないので、控除を目的に新しい保険へ入るのではなく、今ある契約の申告条件を確認してください。[s1]

年収別の試算と、提出までにすること

同じ前提の試算では、年収300万円で所得税は約0.8万円減、500万円で約2.8万円減、600万円で約3.7万円減、700万円で約0.8万円減です。控除の増え方と税率が違うため、年収に比例して減税額が大きくなるわけではありません。

グラフ

年末調整で減る所得税の目安(試算)

年収300万円 控除+16万円
約0.8万円
年収500万円 控除+36万円
約2.8万円
年収600万円 控除+36万円
約3.7万円
年収700万円 控除+4万円
約0.8万円
控除の増え方と税率で、戻る額が決まる

制度の施行は2026年12月1日で、11月までの毎月の源泉徴収事務は変わりません。12月の年末調整で改正後の控除を反映し、多く徴収していれば還付、少なければ追加で徴収して精算します。[s1][s2][s4]

改正を反映した申告書は12月1日より前に提出できます。自分と家族の年間収入の見込み、保険料の証明書、会社の締め切りをそろえて、改正後の様式と額を確認してください。[s2][s4]

手順

出す前の4つのチェック

STEP 1
基礎控除申告書

今年の収入の見込みを書く

STEP 2
家族の収入の見込み

新しく対象なら異動申告書

STEP 3
保険料の証明書

23歳未満の子がいるか見る

STEP 4
出す期限

会社の締め切りを確かめる

医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、年末調整だけでは終わらない手続きもあります。年の途中で最後の給与を受けた場合の改正の適用も含め、会社の担当部署、国税庁の案内、税務署で自分に必要な申告を確認してください。[s2][s6][s7]

実践のポイント・まとめ

POINT 1

控除と還付を分ける

控除の増加額をそのまま戻る税金とは考えず、源泉徴収税額と年税額を確認してください。

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POINT 2

家族の収入を確認

新たに扶養の所得要件を満たす家族がいるかを調べ、必要な異動申告書を提出してください。

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POINT 3

適用年と書類を確認

基礎控除などの特例の対象年を確認し、会社の提出期限に合わせて書類を準備してください。

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出典・参考文献

検証ファクト一覧を表示する(全17項目)
ID 確認した事実・仕様 出典 注意・補足
F1 基礎控除・給与所得控除の最低保障・扶養の所得要件の改正は2026年12月1日施行、令和8年分から。令和8年11月までの毎月の源泉徴収は変わらず、12月の年末調整で反映 [s1] [s2] [s4]
F2 12月の年末調整で、改正後の控除で1年分を計算し、改正前の税額表で徴収した合計との差を精算。多ければ還付、少なければ徴収 [s1] [s2]
F3 基礎控除(令和8・9年分):合計所得489万円以下 104万円・655万円以下 67万円・2,350万円以下 62万円。改正前(昨年と同じ)95/88/68/63/58万円 [s1] [s3]
F4 令和10年分以後は132万円以下 99万円・それより上は2,350万円以下62万円。104万円・74万円は令和8・9年分 [s1] [s3]
F5 給与所得控除の最低保障額 65万円→74万円(令和8・9年分。令和10年分以後は69万円)。年収190万円以下 [s1] [s3]
F6 給与だけの人の所得税の課税最低限の目安は 74+104=178万円(社会保険料などを引く前。令和8・9年分)。住民税・社会保険とは別 [s1] 計算
F7 扶養親族・同一生計配偶者の所得要件 58→62万円(給与収入だけなら123→136万円)。特定親族136万円超197万円以下(改正前188万円まで)、配偶者特別控除136万円超207万円以下 [s1] [s3]
F8 新たに扶養親族等の要件を満たした親族がいるときは、扶養控除等(異動)申告書を出す(「令和8年12月1日 改正」) [s1] [s2]
F9 23歳未満の扶養親族がいる場合、令和8・9年分の新生命保険料の一般生命保険料控除の上限は4万→6万円(年12万円超で6万円)。合計12万円は同じ [s1]
F10 年8万円払う人の一般生命保険料控除は、ふつう4万円・特例5万円(+1万円) [s1] 計算式Ⅰ・Ⅱ
F11 改正を反映した書類は12月1日前に出してよい。基礎控除申告書は改正後の額を書く。令和8年11月30日以前に最後の給与を受けた人は確定申告が必要 [s2]
F12 過納額は年末調整をした月(通常12月)分の源泉所得税の納付額から差し引いて還付。還付しきれなければ順次 [s1] [s2]
F13 住民税:令和9年度から、給与収入220万円以下の最低保障控除額の引上げ・扶養の所得要件 58→62万円。基礎控除の引上げは入っていない [s5]
F14 医療費控除・ふるさと納税(確定申告するならワンストップ無効)・住宅ローン控除の1年目は確定申告。確定申告は令和9年2月16日〜3月15日、還付申告は5年 [s6]
F15 年収500万円(給与だけ・独身):基礎控除68→104万円(+36万円)、所得税 約11.79万→約9.04万円(約2.8万円減)(作った例) —
F16 年収300万円 +16万円・約0.8万円減/600万円 +36万円・約3.7万円減/700万円 +4万円・約0.8万円減(作った例) —
F17 生命保険料控除が2万円増えても、所得税は約0.1万円(5%の段)〜0.4万円(20%の段)(作った例) —

※ 試算は給与収入のみ・独身・扶養なし・社会保険料は年収の15%・他の控除なしという作った例です。復興特別所得税を含む所得税で、住民税は含めません。

※ 比較は改正前の制度と2026・2027年分の制度です。実際の還付額は扶養、賞与、社会保険料、住宅ローン控除、源泉徴収額などで変わります。

※ 特定の保険・金融商品をすすめる記事ではありません。個別の税務は会社の担当部署や税務署に確認してください。